不妊治療領域で、卵巣予備能、という概念があります。
卵巣予備能とは、卵巣における卵胞の量と卵の質を反映し、女性の生殖機能に影響を与える概念です。
卵巣予備能を評価する方法は、血清FSH値、AMH、AFC、などがあります。
月経周期3日目の血清FSH値は、最も古典的な卵巣予備能を評価する方法で、卵巣予備能の低下により上昇します。
AMHは、比較的新しく用いられるようになった指標で、測定時期による影響を受けにくく、ARTにおける卵巣刺激に対する反応性を予測することもできます。
ただし、AMHは、卵巣刺激に対する反応性の予測という点での有用性は高いですが、妊娠予測という点での有用性は低いといわれています。
実際、AMHについては、ごく低値や測定感度以下であっても、妊娠することはあるので、AMHの値をもってARTの適応は判断することはできません。
AMHは、あくまで卵巣に残っている卵子の在庫の目安であって、卵子の質、妊孕性の予想には使えないのです。
AFC(前胞状卵胞数)は、経膣超音波下にて、径2~5mm程度の粒状の腫瘤として卵巣内に点在して認められ、卵巣予備能を反映し、排卵誘発法や排卵誘発剤の投与量を決定する際の指標になります。
AFCは、AHMとよく相関するといわれています。
ところで、卵胞と卵子の質は必ずしも相関するとは限らず、卵子の質は加齢とともに確実に低下し、今のところ、卵子の質を人為的に変えることはできません。
そういう意味からも、目下のところ、卵巣予備能のマーカーで、最も信頼できるのは、「年齢」といえるのかもしれません。