全身の連動性

投球障害肩・肘へのアプローチでは全身を診なければならない

投球動作は良好だといわれるフォームであっても肩関節や肘関節に大きなストレスがかかる動作です。

ですので、投球フォームに不備が存在すると、そのフォーム自体が投球障害肩・肘を引き起こす原因となります。

投球フォームの不備は、身体機能に問題があるために起こっていることがほとんどです。

よって、医療機関や施術機関を訪れる投球障害肩・肘患者さんは、ほとんどの場合、身体機能に問題があると考えることができます。

例えば、加速期からリリースにかけて肩の後ろから前にかけて痛みが出現し、インターナルインピンジメントと診断がついている場合、ホーキンスのインピンジメントテストというテストを実施して痛みが出るのを、術者が患側肩甲骨を挙上位に誘導すると痛みが消失した場合、肩甲骨の挙上制限がインピンジメントの原因となっていることが推測されます。

その他、45度外転位、挙上位で内旋動作に抵抗すると痛みが出現するが、術者が患側肩甲骨を他動的に固定すると痛みが消失する場合、肩甲骨の固定性の低下が痛みの原因になっていることが推測されます。

さらに、患側に挙上制限が認められるが、下垂位および90度外転位では内・外旋に問題がない場合、肩甲上腕関節の制限はないと考えられ、患側の挙上制限は肩甲上腕関節以外の要因によるものであることがわかります。

これらの評価から、この患者さんは、肩甲骨の可動性と固定性に問題がある、ということが推測されます。

そこで、肩甲骨の挙上筋力を検査すると問題ないが、座位で体幹を患側に側方移動させながら再び肩甲骨の挙上検査を行うと肩甲骨の挙上がうまくできないことがわかった場合、肩甲骨の挙上筋力は正常であるが、体幹・胸郭機能に問題があり肩甲骨の挙上筋力を十分に発揮できていないことがわかります。

肩甲骨周囲筋はすべて胸郭や脊柱に起始部を持つため、体幹機能が不安定であると肩甲骨周囲筋の筋力を十分に発揮できていない、ということです。

さらに、肩甲骨の運動面は胸郭であり、鎖骨を介して胸郭と連結しているため、胸郭の可動性が低下すると肩甲骨の可動性も低下します。

この症例は、胸郭の可動性が低下しているために肩甲骨の可動性が制限されていると推測することができるのです。

このように、投球障害肩・肘の原因を検査・評価しながら追っていくと、体幹・胸郭の機能不全=筋力不足&可動制限にたどりつく、ということがあります。

そういった場合、局所の施術も全く意味がないとは言えませんが、元の体幹機能を改善しなければ容易に再発することが予想されます。

さらには、例えばキャッチャーの場合、立位でのシャドウピッチングではフォームに問題がなくても、座位からのスローイング(セカンドスロー)になるとフォームに乱れが生じている場合もあり、この場合は、このセカンドスローのフォーム修正のために、身体機能に問題がある部位の改善が必要となります。

この時、たとえば股関節屈曲・伸展の運動性に機能的な問題が発見された場合、そこの改善を行う必要があるのです。

よって、投球障害肩・肘患者さんを診る場合、局所だけにとらわれることなく、全身性に評価する必要があるのです。

岡山県津山市下高倉西824

0868-29-3909

 

当院の公式ホームページはこちら↓

  • この記事を書いた人

院長 大門信一郎

OKはり灸マッサージ院長。 はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の国家資格有。 体のゆがみと自律神経を整える鍼灸師。 鍼灸治療の他、痛くない整体や、心地よい力加減のマッサージも好評です。 なかなか良くならない症状にお悩みの方の力になれれば幸いです。 【OKはり灸マッサージ公式サイト】 岡山県津山市下高倉西824 TEL.0868-29-3909 休業日◇月・金・祝日

-全身の連動性
-

© 2024 OKはり灸マッサージ公式ブログ Powered by AFFINGER5