冷え症の種類
冷え症は、大きく分けて、2つのタイプに分けられます。
手足の先が冷える「四肢末端型」
身体の中心部が冷える「内臓型」
また、この他に「下半身型冷え症」もあります。
四肢末端型冷え症
四肢末端型冷え症は、冷え症の典型的なタイプです。
身体で十分な熱が作れないために起こります。
人間の身体は、寒さを感じると、体温を維持する防御機構が働きます。
熱を奪われにくくするために、熱が逃げやすい手足の末端の血流量を減らします。
この時、主に交感神経が働いて、身体の表面や、手足の先の血管を収縮させて、血流を減らして熱を逃がさないようにしています。
四肢末端型冷え症では、交感神経が過敏に反応することにより、体温維持の防御反応が必要以上に強く起こります。
それにより、ちょっとした冷たい刺激でも、手足の先が冷えてしまいます。
内蔵型冷え症
内蔵型冷え症とは、身体の表面は温かいのに、身体の中心部(内臓)が冷えるタイプです。
こういう方の場合、冷えて不快に感じるものの、手足の血行は良く、手足に触ってみると温かいのが特徴です。
内臓型冷え症は、四肢末端型冷え症とは逆に、副交感神経に偏っている人に多くみられます。
交感神経のはたらきが低下し、副交感神経の作用が強い場合、寒くても、手足などの表面の血管が収縮せず、広がったままになるため、熱が身体から逃げてしまい、結果的に身体の中心にある内臓の温度が通常より低下してしまうのです。内蔵型冷え症の手足が温かいのは、そのためです。
内蔵型冷え症は、内臓が冷えるために、腸の機能が低下し、腸にガスが溜まりやすくなります。また、下腹部痛、便秘、下痢、膀胱炎などを起こしやすくなります。
その他に、副交感神経の働きが強いため、いつも身体がだるい、食欲旺盛で食べ過ぎでやや太り気味、である傾向があります。
アレルギー体質の人も多いです。
下半身型冷え症
腰から下だけが冷える下半身型冷え症の場合、基本的には「四肢末端型冷え症」と同じく、血管を収縮させる交感神経が過敏で、足先が冷えやすいのですが、顔面や頭部が熱くなるような「のぼせ」を伴うことがあります。
冷え症の鍼灸治療
このように、ひとことで、「冷え症」といっても、 「四肢末端型冷え症」と「内臓型冷え症」は、ほとんど真逆の自律神経バランスになっているため、鍼灸治療で、その改善を目指してアプローチする場合も、どのタイプに当てはまるかよく考えてアプローチし、好ましい方向に自律神経バランスを改善させることが必要になってきます。
「下半身型冷え症」の「冷えのぼせ」の場合は、さらに注意深い施術アプローチが必要となってきます。
どのタイプの冷え症であっても、冷え症の症状、それ自体がつらいものですし、その他にも、様々な不調を伴いやすいです。
鍼灸治療は、自律神経に働きかける作用があります。
冷え症へのアプローチ方法としては、基本的には、どのタイプの冷え症であっても、鍼治療とあわせて、積極的にお灸をします。
鍼治療で副交感神経の働きを優位にして、お灸で、ほどよく交感神経機能をあげる施術を行います。
要は、交感神経も副交感神経もどちらの働きも、適度に活発な状態が理想ですので、鍼灸治療では、なるべくその状態に近づくように、交感神経・副交感神経、両者の機能を適度にあげ、結果的に自律神経の機能がよくなった状態を目指します。
冷えのタイプによって、鍼治療とお灸の比率を変えて施術を行ないます。
また、冷えのぼせを伴う場合は、上半身にお灸をすると、のぼせがひどくなる場合がありますので、下半身のみにお灸をするように注意します。
ちなみに、上半身へお灸をする場合は、背中の肩甲骨の間あたりへのお灸が効果的ですので、そのポイントにお灸をすることが多いです。
男性の場合は、上半身裸になっていただくことがあります。
女性の場合は、服を着たまま施術致します。
襟が大きく空いているような服でしたら、襟部分を下げさせていただきます。
そうでない場合は、腰から背中が出るような形にしていただいて、施術致します。
その際、お声かけを致しますので、もし、背中への施術を希望されない場合は、ご遠慮なくおっしゃって下さい。
また、整体学的に言うと、身体のゆがみが冷え症に影響する場合もあります。
特に、上部頸椎(首と頭の境目あたり)にゆがみがあると、自律神経の中枢である脳幹の機能が低下し(上部頸椎と脳幹の機能とは密接な関係があります)、自律神経の機能不全が起こり、結果的に冷え症になることがあります。
このような場合、首のあたりに適切な刺激を加えると、手足が自然と温まってくることがよくあります。
冷え症に限らず、上部頸椎のゆがみは、脳幹の機能低下、それと連動した自律神経の機能不全を起こす場合がありますので、OKはり灸マッサージでは、常に、頸椎のゆがみのチェックはどのような症状で来られた場合でも、基本的にはさせていただいております。
また、冷え症を改善させるためには、定期的で継続的な治療が必要となります。
定期的に通院していただくのが理想なのですが、それが難しい方もいらっしゃると思いますので、そういう方の場合には、自宅で自分でお灸をするのをお勧めします。
ご希望があれば、ご来院いただいた際に、お灸をすえるツボの位置をお伝えします。