不妊症とは
不妊症とは、妊娠を希望して、避妊等をしないで1年以上妊娠できない場合を不妊症と言います。(以前は、2年を経ても妊娠に至らない場合を不妊症としていましたが、1年に見直されました。)
1回の排卵につき、妊娠を期待できる割合は、10~25%と考えられています。
これは、4~10回に1回の確率で妊娠する計算になります。
不妊原因のない夫婦なら、1~2年以内に妊娠するという計算になります。
統計的にも、結婚後、避妊を行わなかった場合、1年以内に8割の夫婦が妊娠し、2年が経過すると、9割の夫婦が赤ちゃんを授かります。
そして、残りの1割の夫婦が不妊症と診断される可能性があります。
しかし、最初の1年で8割が妊娠し、次の年で妊娠する方は1割に過ぎないことを考えると、1年たっても妊娠されない方は、不妊治療を視野に入れることをお勧めすます。
不妊症の中で、一度も妊娠したことのないものを「原発性不妊症」といい、過去に一度でも妊娠した経験があるものの、その後妊娠の成立がないものを「続発性不妊症」と言います。
不妊症の原因
不妊症には、様々な原因があります。
妊娠が成立するためには、以下の9つのステップがあります。
- 排卵
- 卵子の卵管内への補足・移動
- 造精・精子の輸送・膣内への射精
- 精子の子宮・卵管への進入
- 卵管膨大部での受精
- 受精卵の発生・分割
- 受精卵の子宮内への移動
- 分泌期子宮内膜の形成
- 受精卵の着床
不妊症とは、この一連の現象のどこかに障害が起こっているために妊娠が成立しえない状態と言えます。
不妊の原因となる女性の病気
不妊の原因となる女性の主な病気には、以下のものがあります。
排卵障害
- 多のう胞卵巣症候群卵胞が成熟しないために排卵できず、卵巣に残ってしまう病気
- 高プロラクチン血症プロラクチンは乳汁分泌ホルモンとも呼ばれるホルモンで、出産後ではないのに、プロラクチンの分泌が増加し、産後と同じような症状がみられる病気
- 黄体化非破裂卵胞卵巣の中で卵子が成熟しているのに、卵胞が卵巣の外に出ることができずに黄体化し、排卵が起こらない病気
- 性腺刺激ホルモン分泌障害無理なダイエットや、強いストレス、甲状腺機能障害などにより、視床下部の機能が低下し、排卵が起こりづらくなる症状
- 卵巣機能低下卵巣自体の機能が衰えた状態のこと
卵管障害
卵管狭窄・卵管閉塞 卵管が狭くなったり詰まったりする病気
着床障害
- 子宮内膜症子宮内膜に似た組織が卵巣や卵管に発生する病気
- 子宮筋腫子宮の筋肉に発生する良性の腫瘍
- 子宮奇形(子宮形態異常)子宮が変わった形をしている病気
- 黄体機能不全受精卵の着床を促す黄体ホルモンの分泌が滞る病気
その他
- 抗精子抗体膣内に入ってきた精子の動きをとめてしまう抗体 があること
不妊の原因となる男性の病気
不妊の原因となる男性の主な病気には、以下のものがあります。
精子形成障害
- 無精子症精子中に精子が存在しない
- 乏精子症精液中の精子が少ない
- 精子無力症精子の運動率が悪い
- 奇形精子症奇形精子が多い
精子通過障害
精巣で精子は作られているものの、精子の通る道である精路に何かしらの障害があるため、精子が先へ進めない状態
性機能障害
EDなど
原因不明不妊(機能性不妊)
男性が原因で起こる不妊と、女性が原因で起こる不妊の割合は、ほぼ同じだと言われていますが、明らかな原因がない、あるいは、内視鏡検査を含めた現在の検査法で原因疾患の診断が不可能な「原因不明不妊症(機能性不妊症)」も多く見られます。
不妊治療専門クリニックによる不妊治療
不妊専門クリニックによる不妊治療は、女性の体内で自然に妊娠が成立するようサポートする「一般不妊治療」と、卵子と精子を体外に取り出して受精させる「高度生殖医療」に分かれます。
一般不妊治療
- タイミング療法排卵の時期を予測して医師の指導により排卵日に合わせて性交を行う治療法
- 人工授精男性から精子を採取し、子宮の奥深くに注入する治療法
高度生殖医療
- 体外受精-胚移植卵子と精子を体外に取り出して受精させ、体外で2~5日培養した後に子宮に戻す方法
- 顕微授精受精自体に障害がある場合に、顕微鏡を見ながら精子を卵子の細胞質に注入する方法
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