OKはり灸マッサージ針治療は「浅く差す」か「刺さないで接触させるだけ」が基本
OKはり灸マッサージでは、基本的には細い針で浅く刺す、または、全然刺さないで接触させるだけというスタイルで施術を行っています。
ただ、こういうスタイルになるまでには、10年にわたる紆余曲折がありました。
もともとは、深い針を使うことが多かったのですが、深い針よりも浅い針の方が治療後の経過が良いことが多いと実感したからです。
今では、ほとんどの場合、浅く差すか、触れるだけの針治療を行っています。
ただ、深い針ならではの効果もあるので、必要な場合は深い針を用いることもあります。
深い針のデメリット
新米の頃は、「針は深く刺す方がよく効く」という一種の思い込みがあり、太い針をよく使っていました。
長さが5cmで太さが0.20mmの針を深めに数センチ刺す施術を、もっぱらしていたのです。
鍼灸業界で言うところのトリガーポイント針療法に心酔していました。
トリガーポイント針療法とは、筋肉や筋膜の痛い所を直接針で刺激して、鎮痛を目指す針治療です。
痛みは骨のきわにできることが多いため、針を骨に当てるくらい深く刺し入れていました。
業界では第一人者の方のトリガーポイント針療法のセミナーに、当時住んでいた香川県から大阪まで月1回、5年間ほど通っていました。
トリガーポイント針療法は、特に痛みに対して、非常に劇的な効果を上げることも確かにありました。
例えば、当時勤務していた病院に坐骨神経痛で入院していた方で、脳外科医と整形外科医の代わる代わるの神経ブロックという注射がまったく効かない方がいました。
その方に、病棟で毎日針治療をしたところ、10回~15回で完治して、退院されたこともありました。
それくらい確かによく効く治療方法ではあるのですが、欠点もありました。
人によって、症状によって、症状を悪化させることがあるのです。
深い針はリバウンドで症状が悪化するケースがある
少々専門的な話になりますが、筋肉の中に針を刺すと、自律神経のうちの交感神経が大きく反応します。
この反応が劇的な鎮痛効果を生み出すのですが、交感神経をいわば大きく揺さぶることになります。
それに耐えられる方は良いのですが、そうでない方は、治療直後は良くても、後から反応の揺り戻し(リバウンド)が起こり、症状の悪化につながります。
施術の際に、痛みの元をしっかり針でとらえればとらえるほど、効く時はものすごく効くが、リバウンドを起こすリスクもまた大きいという一種のかけのような治療法であると言えます。
悪化する症例を経験していくにつれ、「このままでいいのか?」という疑問がわいてきました。
深い針を不快に感じる人がほとんど
トリガーポイント針療法には、もう一つの問題がありました。
針先が痛みの発信源に当たると、「ズーン」と響く感覚が生じるのです。
このズーンという感覚を気持ちよく感じて、深い針が好きな方もいます。
しかし、そのような方は10人中2~3人しかおらず、ほとんどの方は、この刺激感を好みません。
ちなみに、ズーンと響く感覚が好きな方は、リバウンドすることもまずないので、ご希望があれば深い針をすることも可能です。
浅い針でも劇的に改善する体験で現在のスタイルに
ある時、ぎっくり腰の患者さんに対して施術を行う機会があった時、当時は自分自身、
「こんなんで効くわけない」
と思っていた1~2ミリ刺すだけの施術を試しにしてみました。
すると、なんと、劇的にリバウンドすることなく改善したのです。
この経験を機に、治療に対する考えが変わりました。
浅い針はデメリットが少なく効果も高い
針を浅く刺す針は、ズーンと響く部位である「筋膜」まで針がとどかないため、この感覚も起こりません。
自律神経反応としては、副交感神経を高め、それにつれて交感神経はほどよく反応し、大きく揺さぶられる反応は起こらないため、リバウンドのリスクがかなり減ります。
浅く刺す場合、針先は皮膚および皮下組織内です。
皮膚・皮下組織と筋膜は連動しているので、浅い針でもその刺激は筋膜にまで及び、深く刺した場合と変わらない効果を出せます。
副交感神経が優位になるためリラックスし、皮膚皮下組織、筋膜が適度にゆるむため、関節も柔らかくなります。
その結果として痛みの緩和、関節可動域の増大、内臓機能の調整作用、骨格バランスの調整作用、など様々な効果的な反応が起こります。
ここにお灸をプラスすることにより、適度に交感神経機能が高まり、自律神経機能がさらに最適な状態になります。
また、刺さない接触させるだけの針治療も効果はあります。
人間の身体は電気信号で機能しているため、金属である針を皮膚に接触させるだけでも、その電気信号の調整作用があり、結果として身体にとって良い反応を引き起こすことができます。
OKはり灸マッサージの針治療
OKはり灸マッサージでは、基本は浅い針のスタイルですが、深い針をしない、またはできない、ということでは決してありません。
むしろ、深い針は長年訓練を積み重ねたため、その技術には非常に自信を持っています。
ですから、ここぞという時や、ズーンという刺激を好む方、ガッツリ深い針での施術を好む方には、いけると判断した場合、深い針も積極的に行います。
自分の理想は、浅い針も深い針もお灸もオールマイティーに使いこなせる総合格闘家です。
ギターでいうなら、全階級制覇ギタリストと呼ばれる、渡辺香津美です。
手技も、マッサージから骨格調整まで幅広く行います。
つらい症状をお持ちの方のご来院をお待ちしています。